大内家の支配のもと、殷賑を極める周防の国、山口。「西の京」と呼ばれるその街の片隅に、一人の琵琶法師と従者が暮らしていた。
あるとき彼らは「フランシスコ・ザビエル」と名乗る南蛮人と出会うが......。
藤二郎は平戸で捕縛され、いわれのない責めを受ける。一方、山口の大道寺で了斎は日本を去ろうとするザビエルに秘密を打ち明けようとする が……。
西の京とうたわれた山口が、いま炎に包まれる!大内家の重臣陶晴賢が謀反を起こしたのだ。大内邸の大道寺にいるロレンソの運命は?
そして平戸にいる藤二郎は……?
デウスの教えは徐々に山口に広まっていく。大寧時の変をなんとか生き延びたロレンソ了斎は、ついに日本人最初のイルマン(修道士)に叙され る。そして日本で最初に祝われたクリスマス(降誕祭)。藤二郎もようなくデウスの教えに入信するが、暗い影が忍び寄る……。
太閤秀吉の圧政のもと、臨終の床にあるロレンソ了斎の脳裏に去来するものは?
作者最初の長編時代小説、ここに完結!