オリジナル短編のコーナー（いつか上梓したい短編集のために）

五千人もの人々が援軍のあてのない籠城をしていた。城はおびただしい敵兵に包囲されている。

もう一年以上にも及んだ兵糧攻めのおかげで食うものすらなかった。城の矢倉には、少女が幽閉されている。運悪く籠城直前に城主の弟に嫁いできたのだった。籠城のさなか、少女はなぜ閉じ込められているのだろうか。

その城を包囲している軍団を指揮している武将は、秀吉、といった。

「干殺し」ともいわれる兵糧攻めの城を舞台に、その恐ろしい出来事は起こった……。

書き下ろしファンタジー・ホラー！

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氷は、世界を覆い尽くそうとしていた……。２１世紀中盤から始まった太陽活動の低下による「寒冷化」が、癌細胞のように世界をむしばんでいく。「地球温暖化」の大騒ぎは、いったいなんだったのか？　

人々は住めなくなった北を放棄し、南へと向かう。まるでイソップの寓話に出てくるアリのように。

初出　徳間書店　SF Japan 2010 Spring

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